函館は人口が毎年3,000人ずつ減っている。
大手企業がなく、雇用が無い。
有力大学が無い。
欲しいものが買えない。
等々。
若者が出ていくだろう要素はいくつかある。
それでも入ってくる人もいれば、帰ってくる人もいる。
インバウンドなんかも手伝って、観光客も増え、
近年まれにみる西部地区の賑わい。
冬を間近に控え、新幹線効果も薄れ、
ここからが本当の勝負時。
そんな西部地区から函館の反対側に目を移す。
七飯町にほど近い石川町。
外環状の乗り口のある函館新道沿いに
大型の区画整理事業が行われ、ハウスメーカーがこぞって家を建てている。
建売住宅、注文住宅、アパート。
そこにびっくりドンキー函館3号店がこのほどオープンした。
元々、農地だった場所。
いまや一団の住宅街となり、スーパー、100円均一、病院、コンビニ。
それらしい町の出来上がりだ。
何百、何千という区画を一気に函館の『端』に作った。
函館新道が出来、高規格道路につなぎ、元日本たばこ産業の跡地に
造成地を作り、大型の蔦屋書店が出来、この区画整理…。
まるで、『イナゴの大群』のように食べ物があるところに
一斉に大挙し食い尽くしているように感じる。
人口が減り、空き土地、空き家問題が頻発している状況。
市の財政も決して良くないのに大型の造成地や区画整理で、
道路の整備等の公共設備に費用を投入。
さらには日吉に外環状の降り口が出来ることから、
そちらにも大型の造成地。
またもや外、外に。
そんなに函館って、人おったっけ?
人、余ってる?
石川町の造成地が出来始めて、ここにそんな人来るかな?
って、思ってたけど、まだまだ新築の需要、ハウスメーカーの営業努力は
すごいね。
なんやかんやで、どんどん建つ。
でも、当然人口は増えていない。
これは、単純に考えて、函館の人が外側に動いただけやな。
最近そういう疑問と、なんとかコンパクトシティ化したり、
西部地区にもっと活気を出すことできんかなと思ったりで、
出会った本『老いる家、崩れる街』を読んだ。
全国でも同じような問題が多数起きているようだ。
コンパクトシティを掲げながら、どんどん住宅街を広げている。
政治的な影響も大きいと。
相当前の政策として、市街化調整区域の緩和をして、
造成地を作り、人口を増やしていこうという目的の上のこと。
ただ、先ほどのように人口の『増加』につながったケースは少なく、
『移動』しただけ。
しかし、政府も乱立する住宅街の広がりを抑制し、住宅数の増加にも
歯止めをかけるべく、対策を講じ始めている。
大きな歯車としてはそこに期待をし、地方は地方でやれることを
やっていきたい。
今更作ったものを壊して移住を促すのは難しい。
そこで函館も函館市全体としての考えというよりは、
もっと細分化したコミュニティレベルでの対策なんかは出来ないだろうか。
石川町方面は石川町らしい新興住宅地として、
西部地区は西部地区らしい古いものとの共存と観光対応。
各々をコンパクトシティとして機能させることがいいのではと思う。
先日も函館の市役所近くに住んでいる方とお話をしたところ、
買い物がとにかく不便だと言っている。
市電もあるし、結構利便性はよさそうかなと考えてしまうが、
実際のところ、確かに全くない。
車があれば当然問題はないが、車がない。
もう高齢で車も危ないという高齢者が多い。
西部地区の高齢化率が40%もあると聞いた。
また、全国的にも2025年にピークを迎えると
言われる70歳以上の高齢者。
その対応も望まれている。
行政による対応も当然必要だが、市民レベルからの問題意識も
とても重要と考える。
最近、古民家再生等携わってみて、函館ならではの西部地区を
まずは活気づける手助けをしたいと思う。