今に繋がる『暮らしごと』

『暖簾』

 

現代ではなかなか馴染みが薄くなってしまった感がある。

老舗や昔からの名店、銭湯、旅館、

こんな場所でもなければ、お目にかかることもない。

意識しないといつ、どこで見たかな〜と思うレベル。

ただ、見つけるとなぜか安心してしまったり、懐かしさを感じる。

 

なぜ、『暖簾』の話をするのかというと、

明治期に建てられた伝統的建造物の一部を利用した

ゲストハウスに暖簾を付けることになったのがきっかけ。

「玄関から中が丸見えになってしまうから、カーテンかロールスクリーンを

付けようと思う。」という話を受け、

なんだかそれは味気ないなと思い、

「建物が古民家だから、暖簾なんかどうですか?」と

提案させて頂いたところ採用された!

宿の名前も表札がわりに宣伝出来、一石二鳥だった。

 

そして、「どこか頼めるところあります?」

そりゃそうだ。

言い出しっぺが、「さあ、知りません。」じゃあ、話にならない。

「探します!」と一言。

心当たりが一件あったので、そこに。

 

大手町にある『加賀谷旗店』

めちゃくちゃ雰囲気のある古民家の店舗。

この中に入れるって思うだけでテンションが上がる。

そして、店舗っぽくない!

 

ガラスの引戸があるので、そちらだと思い、

開けて声をかける。

俺『すいませーん』

店『・・・』

俺『ごめんくださーい』

店『・・・』

俺『あのー・・・』

なんやこれ。

と、思ってもう1つの扉を開けると、

奥には大漁旗が飾られ、ひたすら作業されている主人が。

その主人に声を掛けると、

『無骨』って、キン肉マンの額の『肉』代わりに

描いてそうなオジさんだった。

 

訪ねた趣旨を説明すると、

最初に伺ったガラス戸へと通された。

「やっぱりこっちなんかい!」

とは、突っ込まないが、

淡々と商談する。

一風変わった字体なんかは難しいのかなと聞くと、

『デザインを作って、紙で持ってきてくれたらその通りに作りますよ』

とのこと。

どういうシステムかはサッパリ分からないが、それはすごい!

 

ということで、デザインの打ち合わせをして、再度訪問!

ありったけの声で『すみませ~ん!』×3回

ようやく、女性の方が出てきて対応してくれた。

「弟子入り志願しに来てる訳ちゃうんやけどな~」

とは言わず。

 

デザイン案をご主人に見せる。

「分かりました。」と二つ返事。

 

細かい部分の指摘を受け、だいたい2週間くらいかなとのこと。

あとは生地をふくめた色合いについて。

大体のことは決めてきていて、

濃紺でお願いすると、

「日当たりがいい場所だと、色褪せするよ。

それが味って事でいいならいいけど。」

「なるほど!」

藍染の黒なら色褪せはかなり抑えられるけど、

と聞いて、

「藍染!」

徳島人の血が騒ぎ、それでお願いします!

ということで、注文完了!

こういうやり取りも地元企業を使っての

対面でしか味わえない貴重なものだと感じた。

 

やはり、昨今の『ザッツ、超検索社会』

ネットで暖簾のことは当然調べるよね。

初めはそういう流れにもなりそうだったが、

地元で頼めるとこがあって、ネットと比べて圧倒的に高いとかなければ。

ということで。

で、加賀谷さん、どうなの!

なんと、ネットより安い!

昨今の潮流をひっくり返しましたよ!

なんか知らんが、嬉しかった。

ネットに勝つって稀でしょ?

トイザらスもAmazonに負ける世の中なんやから。

いや~、すごいね。恐れ入った。

そして、受け取り。

包装も味があって、開ける楽しみまで貰えた。

当然、仕上がりも最高!

また、なにかの機会があれば、加賀谷さんに持ち込みたいな。

皆さんも是非に。

 

加賀谷旗店の情報はこちら ←をクリック

 

函館空港でお土産屋さんとコラボしてバッグも売っているみたいですよ。


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