停電が明けて -地震 函館 停電-

9月6日 3時8分頃

北海道の胆振地方中東部にある厚真町を震源地とした

最大震度7、マグニチュード6.7の大規模な地震が発生。

 

函館に隣接した北斗市(新幹線の駅ができた市)に住んでいたので、

生活に支障が出るレベルの被害はなかった。

ただ、かなり

「つよい揺れだ」

と、感じ、恐怖も感じた。

 

これは、個人的な備忘録もかねて残したい。

 

厚真町含め、災害の大きかった地域の方々には、

早期に通常の生活に戻り、体も心もともに回復することを

願ってやまない。

また、残念ながら亡くなってしまった方やそのご家族には

ご冥福をお祈りします。

 

全体的な内容については、停電も影響し、あまりつかめていないのも

正直なところなので、自分たちの身に起きたこととして、記したいと思う。

 

6日3時の地震が起き、すぐにニュースを付けたが、

少しの情報を得て、20分くらいで停電が起きた。

周りを見回してすべての家、どころではなく、道路もほんとにすべて

停電し、暗闇になった。

一応、1階に降りてブレーカーをいじってみるが、

やはり、反応はない。

そして、飼っているトイプードルを暗闇の中探してみると、

いつもの定位置で、何事もなかったかのようにしている。

「こいつは、野生というものの一切を失っとるな」

と感じた。

 

そして、ニュースも見れないと情報も無い為に

「まあ、そのうち、すぐなおるやろ」

と楽観する。

『日常的にあるものは、そう簡単に失われるはずがない』

と考えて生活をしている典型的な思考だと、

後で恥じる。

とりあえず、普段からショートスリーパーで、

朝方起きてしまうと寝れない性分な為、

身支度をそこそこ整え、近所を徘徊。

やはり、何人かは外に出ていて、

普通に仕事に出かける人も。

なんとなく、すごかったし、停電もしてるけど、

危機感のある人はあまりいない。

ただ、少しずつ様子が変わる。

コンビニに電池を買いに行くという人の話を聞き、

ウチも今のうちに何かそろえたほうが良いのでは、

と、考え、早々にコンビニへ。

すると、駐車場に入れないくらい車が。

電池

モバイルバッテリー(携帯充電用)

飲み物

ティッシュ

パン

おにぎり

お菓子

と、買い求めるものは大体同じで、

特に電池、モバイルバッテリー、パンは即完売状態に。

このご時世、携帯の充電というものは最重要なもの。

モバイルバッテリーを買い求めて、コンビニをはしごする。

2店舗目で購入することができた。

レジに10人くらい並ぶ、大渋滞だったが。

そして、ガソリンスタンドも4、5台並んでたよ。

ということを聞き、ガソリンを入れに行くと、

すでに15台待ち。

今更だが、当然、信号もついていない。

なんとなくの譲り合いを経て、身長に進む。

スタンドでは、20リットルの制限はあるが、

十分、入れることができた。

 

初めて知ったが、災害スタンドとして停電していても

補助電力により、給油が可能ということだ。

コンビニやガソリンスタンドと、自分の家族もいるだろうに

店を開けて仕事をする人たちには頭が下がる思いだ。

この『災害対応スタンド』

単に給油できるだけではない。

平成7年の阪神大震災がきっかけとなり、整備されたそうだ。

『ガソリンスタンド』と聞くと、火事が起こると非常に危険だと思うが、

実際に阪神大震災の時は、

『火事がガソリンスタンド』によって食い止められるという現象が

たくさん見られたという。

確かに危ないものを危ないまま営業させるなんてことは普通しない。

逆転の発想で、火器を扱うからこそ安全ということそのものだ。

これによって、建築基準の非常に高いスタンドを活かして、

災害時に役立てようとなり、『災害対応スタンド』は通常よりさらに厳しい基準を設け、

太陽光発電や発電設備、貯水槽、緊急用可搬式ポンプ等が整備され、

電力や水道が止まってしまってもガソリンの供給ができるだけでなく、

飲料水の提供や一時避難場所にもなるということ。

『スタンドに避難?』

と、ちょっと思ってしまいそうでもあるが、高い基準をクリアしてのことだろうし、

四の五の言ってられない場合には存分に頼ろうと思う。

ただ、本当に震災被害となった場合には、ガソリンの提供は、重要車両のみとなるだろうが。

しかし、常に利用しているスタンドの下部に『災害対応スタンド』と

書いていても全く見た覚えもなかった。

平和ボケも甚だしいものだ。

『そんなことだから、たまにはこうして被害を出してやらないとダメなんだ!』

と、言われているようで怖い。

次がないことを祈りつつ、この経験を胸に刻んでおきたい。

とりあえずの食料とガソリンを以て、一度、帰路へ着く。

 

『数時間もすれば大丈夫だろう』

 

と、高をくくっていたが、全く復旧する気がしない。

「さて、どうしたもんか」

とりあえず、ウチには幸い『太陽光発電』がある。

停電時のコンセントが1つあり、差込口は2つある。

これを利用して何かしらの急場をしのぐ。

天気の状態もあってか、冷蔵庫は容量オーバー。

冷凍庫は大丈夫だから、冷凍庫を1つ使用。

あとは、なんといっても携帯を充電。

そして、モバイルバッテリーを充電。

不幸中の幸いは天気がいいこと。

あったかいこと。

やれることはやった。

とりあえず、5歳の娘と無音の中、遊ぶ。

電気が通っていないと、こんなに静かなものなのか。

家の中だけではなく、外も。

「たまにはいいな」

などとまだのんきな気持ちもある。

娘はなんだか楽しそう。

 

そして、昼。

なんとなくの食べ物はあるが、

スーパー周りをしてみる。

車もなんだから、自転車で。

スーパーも玄関を入ってすぐのところでバリケードを張り、

必要なものを並べ、手計算による会計をするところと、

人数を限定して入店を促すところなど。

ウチもカセットコンロはあるが、ガスボンベが無かった為、

あればいいなと思っていくが、考えることは皆同じで、

玄関先に売り切れの文字。

特に戦利品に出会えず帰路に。

そこで、ガソリンスタンドの状況に目を疑う。

角地にあるそのスタンドは、一方向のみでも30台くらい並んでいたが、

直角方向にもさらに20台くらいの列。

朝早くに行動しておいて正解だったなと痛感する。

昼からもすることはとにかく娘と遊ぶのみ。

携帯電話もなかなか通じづらくなる。

これはいよいよ災害だということを感じる。

 

周りの情報で発電所の問題だと知り、

謝辞を述べながら走っている『ほくでん』の車を見つけ、

一応話を聞く。

ほくでん社員も困っているようで、あまり情報はないらしい。

聞けた話は、『苫東厚真発電所』が緊急停止をし、

全体のバランスが崩れた為にほぼすべての火力発電所が停止。

泊発電所はもともと稼働していない。

北海道の基本電力は上記の発電所がほぼ全てを担っているということだ。

北海道に住みながらどこの電力によって、自らの家に供給されているかを

全く知らない。無知というのは怖い。

『苫東厚真発電所』というのも耳馴染みがない。

関係のない発電所までストップしてしまうものなのだということも

改めて知る結果となる。

 

そして、夕方が迫る。

近所の人と情報交換。

大した話は当然ない。

「こんなときだからバーベキューでもしちゃう?」

「花火でもやっちゃおうか!」

などと、軽口を叩くに終始する。

いよいよ夜の闇が迫る。

テーマは、『風呂をどうするか』

幸い妻の実家がガスコンロだったので、お湯を沸かしどうにか

娘と妻は暖かいお風呂に入れた。

ウチはIHヒーターが災いし沸かすことができず。

さすがに自分までお世話になるのは遠慮し、

気合の水風呂!

気温も高かったこともあり、意外と気持ちいい!

最初は、かなり心臓に悪い感じがしたが、慣れてくるといい!

来年の夏も意外と何回かするかも。

 

夜が更ける。

家には小さな電池タイプのLED照明が2つ。

これを天井近くの間接照明のある所に設置。

建築の知識が多少役に立ち、意外と明るい。

そして、夜は更に静か。

ちょっと外に出てみる。

ここで1つだけ、

停電になっていいことがあった。

『星がキレイ』

停電になるとこんなに星がキレイに見えるものなんだな。

林間学校以来だ。

この月明りならぬ、星明りの下、歩きたくなる。

上は明るいが、正面はどこを見ても暗闇。

やはり異様な光景だと感じる。

これは、平和ボケ、便利ボケの表れか。

さて、することもない為、眠る。

起きたら、電気が復旧していることを願って。

 

しかし、次の日も停電が続く。

札幌での復旧、函館でも一部復旧と聞き、

そのうち付くだろうと楽観する。

会社もまだ停電しているから、とりあえず自宅待機。

昨日と違うのは、雨だということ。

太陽光発電もなんとも弱々しい。

冷凍庫に電気を供給できない時間も多くなる。

そして、なんと言っても、気分が陰鬱になる。

これが冬だとどうなっていただろうなどと考えてしまう。

 

昨日と同じように娘と遊んで、時間を過ごすのみだ。

外にも行けず、というか出る気があまりしない。

晴れてくれるだけで、災害時の人の心も晴らすのだろうなと感じた。

他の地域での復旧の話を聞きながら、まだまだこっちは復旧しない。

今日も復旧しないとどうしようという思いも芽生える。

実際、何日食料や心が持つだろう。

そんなことを考えていると、町内放送で夕方から未明にかけて、

電気を復旧すると聞く。

かなりホッとする気持ちとどこよりも早く自分達のエリアを

復旧してくれと思う気持ちが強い。

どこまでも自分勝手だ。

 

18時半頃になり、すっかり夜が更ける。

すると、遠くで明かりが見える。

幹線道路の向かいでは復旧しているのだ。

もう目と鼻の先だ。

その見えた光が農協の建物だ。

部屋という部屋から明かりが漏れている。

なにかしら事情等あったものかもしれないが、

こっちが復旧してないことから、

「あんなにこれ見よがしに電気をつけなくていいのに。」

「完全復活じゃないんだから、節電しろ。」

「あんなに付けるからこっちが復旧しないのでは」

などと女々しく言葉が溢れる。

そうは言いながらも、30分くらいで復旧するのだろうと。

近所の人から連絡があり、近所を車で走り、

ここは復旧、ここはまだ。などと情報をくれる。

復旧を待ち遠しく待つと1分1秒が永遠に進まないように感じる。

結局21時に復旧。

 

1日と18時間で復旧した。

停電だけだし、このくらいの期間ということもあり、

『いい経験になったな」

という相変わらずの平和ボケな感想。

ただ、これを教訓にすること。

他の地域で災害にあっている人の気持ちが

今までよりは共感できるだろうから、出来ることを考えられる。

しかし、『電気が使えない』だけだが、

こんなに依存していたんだとある程度は分かってはいたが、

改めて痛感させられる。

 

「発電機があったほうがいいかもね」

などと家族で話す。

これで水が出なかったから。

もっと長引いたら。

家に帰れなかったら。

…。

ゾッとする。

そんな生活を経験した人が沢山いる。

何もないのが一番だと思いながら、

改めて備えが必要だと考えさせられる。

ただ、数日もすれば、『過去のこと』になるだろう。

 

発電所についての個人的主観も近々書こう。


停電が明けて -地震 函館 停電-」への1件のフィードバック

コメントを残す