伝建と指定建築物  -函館 古民家 空き家-

函館の観光地といえば、メインはやはり『西部地区』

金森倉庫群や函館山、旧函館区公会堂などたくさん観光施設が

あることに他ならない。

 

ただ、それだけではない。

最近の古民家ブーム、外国人の日本の歴史に対する認識も

後押ししているが、レトロな建物の功労も大きい。

函館は、築100年近い建物や100年を超す建物がたくさん現存している。

いわゆる日本家屋やデザイン性の高いコンクリート建築、

そしてならではなのが、和洋折衷建築。

一階が和風、二階が洋風となる。

簡単な見分け方としては、窓がポイントで、

一階の窓が横長の引き違いに縦格子が付いている出格子窓で、

二階の窓は縦長の上下スライド窓になっている。

 

貿易港として開港した函館には、いち早く異文化が入ってきて、

様々な国の領事館や外国人の住宅が建築され、

大工たちもその技術習得に至ったとされる。

その後、外国人達が横浜や神戸により大きなマーケットを求め、

去り始めてしまう時に、一般住宅にも普及をしだしたらしい。

 

いろんな説もあるという和洋折衷建物。

港に来る外国人に向けて、函館の坂を利用し、

二階だけが見える街並みだった為や

雪で一階は見えないから二階だけを見栄を張った洋風などなど。

 

いずれにせよ、それが函館『ならでは』を作った。

 

そして、北海道で唯一、

『歴史的建造物群』のある地域として指定されている。

函館の伝統的建造物群のホームページはこちら ←をクリック

城下町,宿場町,門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存

を目的として、限定的なエリアの中で指定している。

現在、函館には80棟ある。

まだ、指定を促しているが、持ち主の承諾を得られていないものや

指定を受けているが、誰も使用していないものもあり、

この辺りが課題だと感じる。

 

そして、

『景観形成指定建築物』というものもある。

函館の景観形成指定建築物のホームページはこちら ←をクリック

これは、都市景観の形成上重要な価値があると認められる建築物等

その他の物件を指しており、都市景観形成地域内にあるものと

限られる。このエリアは、伝統的建築物郡エリアを拡大し、

末広町から西側の西部地区全部としている。

条件は、歴史上、景観上、建築技術史上、意匠上優れた価値を

持つものとなっている。

函館には、51棟ある。

こちらも伝統的建造物に負けず劣らず素晴らしい物件ばかり。

この他にもなにも指定されていない物件もたくさんある。

そして、全てが有効活用されているわけではなく、

さらには、古いからといって壊されている物件も多い。

 

函館のシンボルはこの街並みだと思うから、

なんとか絶滅危惧種的な扱いで、西部地区全体を

保全地区にしてもらえんかいな。

 

さて、この伝統的建造物(伝建と呼ぶ)、

景観形成指定建築物(指定建築物と呼ぶ)は、

外観の保全と維持を持ち主に委託する代わりに

補助金を制定している。

他にも色々と補助制度がある。

①外観の修理、復原と耐震改修

600万円を限度として、対象経費の4/5以内の額が出る。

②防寒改修、内部改修、防災設備の設置

100万円を限度として、対象経費の1/2以内の額が出る。

なかなか大きい。

そして、一度使用したからもう使えないという訳ではなく、

費用を使った分に対しての減価償却を見て、金額が徐々に復活する。

ただ、補助の申請が多少めんどくさいのと

申請の締め切りと着工が補助金が受理になってからじゃないと

始められない等のことはあるが、かなり大きな金額なので、

使わない手はないだろう。

 

さらに、固定資産税の軽減がある。

これは、伝建の軽減が大きい。

1.伝建・・・・・・・・建物は非課税、土地は1/2

2.指定建築物・・・・・建物は非課税、土地は軽減無し

と、伝建は土地に関してもある。

 

年間にして10万円前後の軽減だとしても10年で100万円、

と、考えると結構な費用となる。

外観は、下見板貼りのように通常のサイディングを使う訳にもいかない為、

費用は割高になるかもしれないが、補助金やこの固定資産税の軽減を

考えればさほどでもないし、風情を残せることも重要。

伝建等を使って商売をする人にとってみれば、

さらにいい条件に感じるはず。

 

なんとか雪に埋もれてしまっている使われていない

こういった歴史的な資産を痛みが激しくなる前に

復活させてほしい。

なかなか所有者へのコンタクトが一般人には難しくなっていたり、

そもそも函館にいない所有者も増えている中で、

何か出来る対策を考えなければならないと思う。

 

1つの小さなきっかけのような気もする。

チラホラと伝建が復活して、街が活気付いたなんてことが

あるだけでもきっかけと広がり次第で、

一気に火が付くというものだと思う。

 

自分もまだまだ、

伝建1棟、指定建築物1棟の復活にしか携われていないが、

どうにかこの数を少しでも増やし、

指定されていない古民家も含め、

空き家を無くしていきたい。


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