『室屋』が復活!
というか再生!
いずれにせよ、金森倉庫から緑の島に向かう途中の
海上自衛隊の交差点を過ぎてすぐ左側に見えてくる
こげ茶色の板張りの建物。
周りが駐車場やアパートの駐車場で、
建物もビルや新しいアパートとどちらかというと
白っぽい外観が周りを固める中、
明治から変わらずの佇まいを続けている
函館の誇るべき遺産は存在感を放ち続けている。
ただ、数年前から使用されておらず、
建物の存在感はあるが、呼吸をしていない状態が続いていた。
そもそもここの建物は、直近では民宿『室屋』として、
営業をしており、映画関係者や外国人にも親しまれていたという。
外観の出で立ちからも分かるような気がする。
建物の歴史は
明治42年に海産商の森宇兵衛が建てたのが始まり。
その後、日魯漁業会社が買い取り、同社の診療所として長年使われていた。
終戦の昭和20年に現在の所有者の親族が購入し、海運業を営んでいた。
その後、自転車店となり、昭和58年5月3日に民宿室屋として開業。
天井が高く柱も太く立派な建物で、釘を使わない構造。
『室屋』という名前は本家が青森で雑貨卸業を
営んでいたときの屋号とのこと。
部屋数も多く、若い者相手の商売をやってみたくて民宿を始めたらしい。
明治42年は、1909年。
今から109年前の建物。
昔の木造建築のすごさがこれだけでも分かる。
箱館戦争で新政府と旧幕府軍が最終局面を迎えて、
40年後に竣工した建物。
なんだか感慨深い。
江戸とか箱館戦争とかって、感覚的にはめっちゃ昔と
捉えてるけど、140年前と言われると少し昔感が薄れる。
その歴史ある『旧室屋』をこの度、再生して頂くことになりました。
なんとか良き購入者に巡り合いました。
今後も宿泊施設として運営をして頂けるということ。
すでに内部の畳や改装する部分の撤去作業が
この雪の中始まっている。
というのも、内部は特に床回りは手入れが必要な状態だった。
そして、正面から見たのでは分からないが、
かなり奥に広い。
まずは、正面
道路に面しているところの入り口から入ると、
土間の広いスペースがお出迎え。
早速、なかなかのいい雰囲気。
奥の扉も合わせて、建具も素敵だ。
もう1つ道路側から少し入ったところにも玄関があり、
そこから入ると天井の高い土間スペース
そしてなぜかこういう建物にはよく見かける気がする。
甕
各部屋や廊下、ホールと
どこを見ても素晴らしい雰囲気。
風呂が2つあり、両方とも檜風呂だったのだろう。
そして、
『隠し階段』発見!
というのは嘘で、
増改築を繰り返しているだろう建物で、
収納内の階段は撤去せずにそのままにしていたのかもしれない。
現状、階段は2つあり、こちらをつぶして、
新たに1つ作った跡が見受けられる。
2階も広々と大人数でも泊まれる道路側の景色の良い部屋と
小分けにされた部屋がそれぞれ階段ごとに特徴が分かれる。
いずれにせよ、この建物がまた生まれ変わり、
街の明かりの一つになることがうれしい。
昔の良いところがどう活かされ、
どう新たに変わるのかを心待ちにしたい。
5月頃に完成する予定。
函館の『景観形成指定建築物』が、
また新たなスタートを切ることの一端に携われたことは
素直にうれしい。
また、こういった物件を手掛けて、誰かに託していきたい。
1つ1つは小さいが、少しでもこういったことが増えて行けば、
また、『夜景の街、函館』も復活するはず。
「フルキヨキヤドノフッカツ -函館 大町 民宿 室屋-」への1件のフィードバック